田中優さんからのメッセージ

 
 各地で地球温暖化の危機を訴え「日本のアル・ゴア」と呼ばれる田中優さんは、政官財が癒着した日本のエネルギー政策のおかしさへの鋭い批判でも知られています。今回のキャンペーンに寄せてくれたメッセージも勉強になりますよね。

 以下、優さんからのメッセージです。
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 値段が上がり続ける原子力や化石エネルギーを選択するか、それとも値段が下がり続けている自然エネルギーを選択するか。

 枯渇していくウランや化石エネルギーを選択するか、それとも無尽蔵の自然エネルギーを選択するか。

 100年後の未来では、ウランも化石エネルギーも使い物にならない。石炭はあるが、使い続ければ地球温暖化で滅んでいる。自然エネルギー以外に選択肢はないのだ。
 ならば50年後にはどうなっているべきだろうか。10年後は?さらには今、私たちは何を選択すべきだろうか。

 泥舟の原子力化石燃料ではなく、上げ潮の自然エネルギーを選択すべき時ではないか。

 小規模な水力は、わずか数メートルの水路で一軒分の電気を作る。しかし隣家に渡すことができない。電力会社に売らなければならない。しかし電力会社は買わない。買ったとしてもタダ同然の値段でしか買わない。
 電力会社の最大コストは送電線網なのだから、コストを下げたければ地域で発電すればいい。大きな発電所より、小さな家庭の発電のほうが将来のコストは安くなる。
 しかしそれを許さない。

 ドイツは温暖化対策で自然エネルギーを推進し、23万人の雇用を増やした。さらに炭素税で集めた資金から、企業が負担している年金掛け金の半額に助成した。企業はバイトを雇うより、正社員にしたほうが得になるので24万人の雇用を増やした。合計約50万人だ。

 日本の電気料金は、役立たない核燃料サイクルのような無駄遣いによって、アメリカの三倍高くなった。そのせいでアルミ精錬のような電気多消費型の企業は、海外に出て行かざるを得なくなった。国内に残る企業も四分の一が自家発電している。
 世界一を誇った太陽光発電も今やドイツ企業に負け、国内で生産した太陽光発電装置の八割が輸出に回される。アイスランドの7割の電気を発電する地熱発電装置は、実は日本製だ。日本も総発電量の3割を地熱でまかなえると推計されているのに、ほとんど進まない。

 エネルギーの問題はただの「電気」の話ではない。
この社会をどう作るのかの、民主主義の問題なのだ。

 ぼくはこのままでいいとは思わない。